「ママがいい」と泣く休み明け——保育士が教える生活リズムの戻し方
長いお休みが明けて、朝がちょっと大変になっていませんか。
- 玄関で「行きたくない」と泣かれる
- 夜、なかなか寝てくれない
- 朝、起こしても起きない
- ごはんを食べたがらない
「せっかく整えた生活リズムが、全部崩れてしまった……」
そう思って落ち込んでいるお父さんお母さん、けっこう多いと思います。
でも、大丈夫です。 そして、特別なことをしなくても大丈夫なんです。
今日は保育園の中で実際に起きていることと、私たちがやっていることをお話しします。
保育園でも、まったく同じことが起きています
まず知っていただきたいのは、これはご家庭だけの話ではないということです。
長いお休みが明けた登園日。園の玄関では——
「ママがいい」
そう言って、涙を見せる子がたくさんいます。しばらく会えなかった時間を、たっぷりお家の人と過ごしたあとですから、当然のことです。
でも、そのあとどうなるか。
遊びが始まると、そちらへ行きます
泣いていた子も、遊びや活動が始まると、すーっとそちらへ行って遊びはじめます。
ブロックを積んだり、おままごとをしたり、お友だちと追いかけっこをしたり。
もちろん、ふとした瞬間にパパやママを思い出して、また涙を見せることもあります。でもそれを繰り返しながら、少しずつ、元の生活に戻っていきます。
朝の別れ際の涙は、その日いちにちずっと続いているわけではないんです。ここは、送り出す側からは見えない部分だと思います。
ごはんも、実は同じです
家族団らんやお出かけで、ちょっと特別なごはんをたくさん食べたあとは、園に戻ってくると給食を嫌がることがあります。
いつもは残さず食べていた子が、急に手をつけない。これもよくあることです。
でも、そこは保育園。
まわりを見ると、お友だちがみんな、おいしそうに食べているんです。すると——
「ぼくも、わたしも、食べてみようかな」
そんな気持ちになって、少しずつ箸が(スプーンが)進みはじめます。
これはお友だちパワーとしか言いようがありません。大人がどんなに上手に声をかけるより、ずっと強い力です。
園では「特別なこと」を何もしていません
ここが、いちばんお伝えしたいところです。
「保育園ではきっと、リズムを戻すための特別なプログラムをやっているんでしょう?」
そう思われるかもしれませんが——何もしていません。
やっていることは、これだけです。
- 午前中にたくさん遊ぶ
- 疲れている様子があれば、適宜お昼寝をとる
- 1歳児以降なら、室内でゆっくり過ごす時間をつくる
- 元気がなさそうな子には、その子の発達と体調に合わせて、そばで寄り添う
つまり、いつも通りの生活を、あたりまえに行う。それだけです。
特別なことをして無理に戻そうとするのではなく、いつもの流れに、ただ戻す。 これが結局いちばん早いんです。
おうちでも同じだと思います。「リズムを立て直さなきゃ」と気負って新しいことを始めるより、いつもの朝ごはん、いつものお風呂、いつもの寝る時間に、静かに戻していく。それで十分です。
夜、寝てくれないときの5つの工夫
とはいえ「夜がいちばん困る」というご家庭は多いと思います。
保護者の方から相談を受けたとき、私が一緒に考えるのは「寝る時間までに、何をするか」です。
寝る直前まで楽しく遊んでいたら、そこから急に眠れというのは無理があります。寝るまでの流れを作ってあげるのがコツです。
① 遊ぶ場所と、寝る場所を分ける
これがいちばん効きます。**寝室は「寝るところ」**だと、体で覚えてもらいます。
② みんなで一緒に寝室に入る
子どもだけ先に寝かせて、大人はリビングでテレビ——だと、行きたくなくて当然です。一緒に入るだけで、ぐっとスムーズになります。
③ おもちゃは寝室に持ち込まない
ひとつ持ち込むと、そこから遊びが始まってしまいます。寝室の入り口でバイバイしましょう。
④ 絵本は「一冊だけ」と決める
「もう一回!」が始まると終わりません。冊数を先に決めるのが大事です。
⑤ 「これで終わりだよ」と、事前に伝える
そして、これが一番のポイントです。
始まる前に、終わりを伝えておく。
「絵本を一冊読んだら、ねんねだよ」 「これで終わりだよ」
先に言っておくと、子どもは心の準備ができます。急に取り上げられるのと、あらかじめ分かっているのとでは、まったく違います。
これは保育園でも毎日やっていることです。次に何が起きるか分かっていると、子どもは安心して切り替えられるんです。
どれくらいで戻るの?
いちばん気になるところだと思います。
私の実感では——たいていの子は、すぐに戻ります。
特に保育園に通っているお子さんは、生活の流れが体に染みついているので、数日もあれば元のリズムに帰っていきます。
なので、「1週間経っても完全じゃない」と焦らないでください。 行きつ戻りつしながら、少しずつで大丈夫です。
子どもが戻れる、いちばんの理由
最後に、これだけはお伝えしたいことがあります。
なぜ子どもたちは、あんなに泣いていたのに、ちゃんと戻っていけるのか。
答えはとてもシンプルです。
園に、楽しみがあるからです。
大好きなお友だちと一緒におままごとをしたり、ブロックを作ったり、絵本を読んだり、追いかけっこをしたり。園庭で虫や草花を見つけて、「先生、見て!」と一緒に喜んだり。
お家でパパやママと過ごす時間は、もちろん幸せです。でも同時に、園で会える友だちや先生も、その子にとって大切な存在なんです。
楽しいことがある。 やりたいことがある。 会いたい人がいる。
これって、本当に大事なことだと思います。
そして実はこれ、大人も同じですよね。
まとめ
- 休み明けに泣くのはあたりまえ。保育園でも同じことが起きています
- 朝は泣いても、遊びが始まればそちらへ行きます
- 給食を嫌がる子も、お友だちが食べていると食べたくなります
- 園では特別なことは何もしていません。いつも通りの生活に、あたりまえに戻すだけ
- 夜は「寝る時間までに何をするか」を整える。遊ぶ場所と寝る場所を分けるのが特に効きます
- 「これで終わりだよ」と先に伝えると、子どもは切り替えられます
- たいていの子はすぐ戻ります。焦らなくて大丈夫
生活リズムは、気合いで戻すものではありません。いつもの毎日に、そっと戻っていくものです。
今朝、玄関で泣いていたお子さんも、きっと今ごろは、お友だちと笑っているはずですよ🍀